あなたは舞踏を観たことがありますか?
「何それ?」
「そもそも何て読むの?」
なんて人も多いかもしれません。
観たことがあるという人も
「意味が分からない」
「気持ち悪い」
などネガティブなイメージを持っているかもしれませんね。
そこで今回は、舞踏の読み方や意味、白塗りについて、舞踊との違いについて紹介します。
タップして好きな所から読む
舞踏とは|読み方と意味を紹介!
舞踏は「ぶとう」と読みます。
その意味や定義についてですが、これが説明するのがとっても難しいのです。
なぜならば、はっきりとした決まりはなく、アーティストの数だけ答えがあるからです。
そこでひとまず、「舞踏」という言葉の使われ方の歩みに沿って、舞踏が何を指してきたのかを見ていきましょう。
舞踏という言葉に関しては、さまざまな辞典で定義付けが行われていますが、おおむね多くの辞書には「舞い踊ること。ダンス。」などという言葉が使われているようです。
元々は、明治以降から使われるようになった言葉で、西洋のダンスの日本語訳として用いられたと言われています。
しかし、現在ではその意味は薄れており、ジャンルの一つとして使われることが多くなっています。
そのジャンルとは、前衛舞踏家の土方巽(ひじかたたつみ)が西洋舞踊に対して日本的なダンスを創るべく始めた様式のもので、元々は「暗黒舞踏」と呼ばれていました。
そのルーツを持つパフォーマンスを、現在では舞踏と呼ぶことが多いのです。
ちなみに、舞踏は海外でも高く評価されており、「Butoh(ブト―)」と表記されます。
白塗りの舞踏とは|なぜ白塗り?
舞踏と言えば、男性はスキンヘッドに半裸に白塗り、女性も半裸に白塗り、というイメージを持っている人も多いでしょう。
ところが、舞踏なら必ずしもそうしなければならないというわけではありません。
衣装を身につけて、白塗りせずにパフォーマンスをするアーティストもたくさんいます。
実際に私がこれまでに観たアーティストも、白塗りにしている人もいれば、そうでない人もいました。
「それなら、なぜ白塗りをするの?」
と言われても、これも説明に困ってしまいます。
白は神聖や無垢、純潔を表す色であるとか、先人たちがそうしてきたことを踏襲しているとか、自分自身を隠すためとか、理由は一つではないからです。
これもアーティストによって、白塗りを選ぶ理由が違うと言えるでしょう。
舞踏と舞踊の違い
舞踏と舞踊(ぶよう)の違いですが、こちらも言葉の意味としては、はっきりと線を引けるものではありません。
あえて言うならば「舞踊」はおおむね西洋から入ってきたダンスのことを指す場合が多いでしょう。
リズムに合わせて踊るダンスです。
一方、ジャンルとしての「舞踏」は、体の重心を低くし、リズムに囚われることなく身体を動かします。
動かずに静止したり、床に転がったりと、一見それは型に囚われない自由な表現に見えるでしょう。
その動きに、初めて観た人は
「意味が分からない」
「なんだか怖い」
などと感じることもあるかもしれません。
そんな時は理屈で考えるのもいいですが、言葉や意味を超えたところで、ただ感じるままに受け取ってみるのもいいものです。
また、はっきりと意味を提示しないゆえに想像の余地がたっぷりとあり、体の中に作品がいつまでも残ることでしょう。
まとめ
現在「舞踏」は、暗黒舞踏をルーツとする身体表現に対して用いられることが多い言葉です。
舞踏は、白塗りや半裸などのインパクトが強いかもしれませんが、もっと自由で、型にはまることのない身体表現と言えます。
ぜひ一度、生で観てみることをおすすめします。
きっとその、むき出しの人間の姿とその美しさに心打たれることでしょう。