近年、企業と顧客の連絡手段は多様化しており、メールやチャットなど、電話以外のさまざまな選択肢が用意されるようになりました。
AIやロボットが自動で応答してくれるチャットなどを利用したことのある人もいるのではないでしょうか?
しかし、依然として多くの企業や自治体が顧客サポートや問い合わせ窓口として、ナビダイヤルを利用しています。
そこで本記事では、ナビダイヤルの料金体系と、企業がナビダイヤルを利用することで一体誰が儲かるのか、得をするのか?について解説していきます。
さらに、利用者(顧客)と企業にとってのメリット・デメリットを比較検討し、ナビダイヤルを利用する際の適切な判断材料を提供していきたいと思います。
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ナビダイヤル(0570)とは?
ナビダイヤルとは0570から始まる番号で、一つの番号にかかってきた電話を複数の拠点に振り分けて応答できる仕組みです。
また、ナビダイヤルは発信者側(電話をかけた側)が通話料金を負担するシステムになっているため、通話料金を負担することなく問い合わせ窓口を設置できるというのも大きなメリットと言えるでしょう。
新型コロナウイルスの予防接種の受付でもナビダイヤルが利用されていたことで、SNS等では話題になりましたね
つまり通話料金だけを考えれば、ナビダイヤルを設置することは企業にとって得になると考えることもできます。
ナビダイヤル(0570)の料金体系
ナビダイヤルといえば「通話料金が高い」という声もよく聞きますが、その料金体系はどうなっているのでしょうか?
本章では発信者(消費者)負担と企業側の負担に分けて、ナビダイヤルの料金体系について詳しく解説していきます。
ナビダイヤルの料金体系を知ることで「誰が儲かっているのか?」も分かるかも
ナビダイヤル(0570)の発信者負担
ナビダイヤルの通話料金は、基本的に発信者(電話をかけた人)が負担する仕組みになっています。
通話料金は、固定電話と携帯電話・スマートフォン、公衆電話など「どこからかけるか」によって大きく異なります。
- 固定電話:180秒ごとに9.35円(税込)
- 公衆電話:40秒ごとに11円(税込)
- 携帯電話・スマートフォン:20秒ごとに11円(税込)
また、ナビダイヤルへの通話は携帯電話やスマートフォンの「かけ放題プラン」「通話料定額プラン」などの対象外となるため、注意が必要です。
かけ放題プランに加入しているからと思っていたら、予想外の高額請求がきてしまった…なんてことにならないように
ナビダイヤル(0570)の企業側の負担
ナビダイヤルを設置している企業が負担する料金としては、次のようなものがあります。
基本サービス料金+オプションサービス料金
基本サービス料金としてはナビダイヤルの契約ごとに11,000円(税込)、契約回線数ごとに1,100円(税込)がかかります。
また、有料のオプションサービスとしては
- 自動音声ガイダンス
- SMS送信サービス
などがあります。
オペレーターとつながるまでに流れる自動音声ガイダンスも、有料のオプションサービスのようですね
ナビダイヤルは結局、誰が儲かるのか?誰が得するのか?
ナビダイヤルの料金体系について解説しましたが、一体誰が儲かって、誰が得をしているのでしょうか?
本章では、企業にとってのメリットとデメリット、利用者(かける側)にとってのメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
企業にとってのメリット
企業がナビダイヤルを利用するメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
- 通話料を負担することなく電話窓口を設置できる
- 全国どこからかかってきた電話でも同じ料金
- 顧客の電話番号を取得できる
- 問い合わせ時間を計上できる
企業にとって、通話料金を負担することなく電話窓口を設置できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
また、ナビダイヤルを利用することでかかってきた電話番号や問い合わせにかかった時間をデータとして蓄積できるため、分析やサービスの改善に役立てることもできます。
利用者にとってのメリット
ナビダイヤルの利用者(かける側)にとってのメリットとしては、次のようなものが挙げられるでしょう。
- 全国どこからでも通話料金が一定である
- 混雑時には自動音声で案内されるので、混雑回避できる
ナビダイヤルにかける側にとっては、全国どこからかけても料金が一定である点がメリットと言えるのではないでしょうか。
また、ナビダイヤルを導入している企業はサポート人員の負担を減らすため、自動音声ガイダンスなどを利用している場合も多いです。
「オペレーターにおつなぎしております」や「〇〇の問い合わせの方は1番、□□の問い合わせの方は2番を押してください」といったガイダンスを聞いたことのある方もいるのでは?
そのため、適切な問い合わせ窓口にたどりつくことができる、混雑時には一旦切ってかけ直すなどの対策をとることもできます。
企業にとってのデメリット
ナビダイヤルは企業にとってコスト削減、電話窓口の番号を一本化できるなど多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。
- ナビダイヤルを導入していることで、問い合わせを躊躇させる可能性がある
- 企業イメージが低下するおそれがある
SNS上でも「ナビダイヤルはぼったくり」「むかつく」などの声が多数上がっているように、多くの人がナビダイヤルに対してあまり良いイメージを抱いていないことが分かります。
そのため電話窓口の番号がナビダイヤルだと、問い合わせを躊躇してしまう人や「やめておこう」となる人もいるかもしれません。
また、「ナビダイヤルを導入している企業に対するイメージ」もあまり良くないのも事実です。
このように、企業イメージの低下につながってしまうことも…
利用者にとってのデメリット
ナビダイヤルの利用者(かける側)にとってのデメリットとしては、次のようなものがあります。
- 通話料金が高い(特に携帯電話やスマートフォン)
- つながるまでに時間がかかる場合がある
ナビダイヤルの利用者(かける側)にとっては、何よりも高額な通話料がかかることが大きなデメリットと言えます。
また、ナビダイヤルはオペレーターにつながった瞬間ではなく待ち時間にも通話料金が発生する仕組みのため、混雑していて長く待たされるとそれだけ料金も高くなります。
ナビダイヤルは企業側にとってはコスト削減になりますが、その分を利用者(かける側)が負担しているということになりますね…
ナビダイヤル(0570)の利用の判断基準
続いて、ナビダイヤルを利用するかどうかについて「企業側から」「利用者(かける)側から」それぞれの判断基準を解説していきます。
企業にとって
- 問い合わせ件数が多く、電話代を削減したい
- 全国どこからでも同じ料金で問い合わせを受け付けたい
- 顧客の電話番号を取得したい
- 問い合わせ時間を計上したい
こういった悩みを抱える企業にとっては、ナビダイヤルを利用することで問題を解決できる可能性があります。
ナビダイヤルは全国一律料金で、通話料金は発信者(かけた側)が負担するため、低コストで電話窓口を設置できます。
利用者にとって
利用者(かける側)にとっては
全国どこでも一律料金で通話できること
これがナビダイヤルを利用する上での大きなメリットと言えます。
よって、問い合わせをしたい企業の所在地が離れている場合には、ナビダイヤルを利用することで一般電話よりも料金が安く抑えられる可能性があります。
ナビダイヤル(0570)に代わる選択肢
ナビダイヤルは企業・利用者双方にそれぞれメリット・デメリットがありますが、利用者側(かける側)からはどうしても敬遠されがちです。
「企業の問い合わせ電話がナビダイヤルだったらイメージが下がる」という声も上がっていましたね…
企業側がとれる対策としては、ナビダイヤル以外の代替手段を用意する方法があります。
- フリーダイヤル(0120):電話を受ける側(企業)が通話料を負担する仕組み
- 0ABJ番号:いわゆる一般電話。通話料はかけた側(利用者)が負担するが、かけ放題や通話定額プランの対象となる。
- メール:問い合わせ内容をしっかり確認できる
- チャット:リアルタイムで問い合わせに対応できる。AIやロボットを活用すれば人員を削減することも可能
これらの代替手段にも、それぞれメリットとデメリットがあります。
自社や顧客のニーズに合わせて、最適な問い合わせ手段・窓口を整備するのが良いでしょう。
まとめ
今回は、ナビダイヤル(0570)の料金体系と、誰が儲かるのか、得をしているのか?について解説したあと、企業側・利用者側それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。
ナビダイヤルは利用者側(かけた側)が料金を負担する仕組みのため、通話料金だけを考えれば企業にとってはコスト削減などのメリットがあります。
一方、利用者側(かけた側)にとっては一般電話に比べて通話料金が高額である、かけ放題や通話定額プランの対象外であるというデメリットが存在します。