スタジオジブリによる長編アニメーション映画「君たちはどう生きるか」が2023年7月14日に公開されました。
おなじみの宮崎駿監督が制作指揮を執った作品です。
宮崎駿監督の作品は2013年の「風立ちぬ」以来10年ぶり。「風立ちぬ」を最後に引退を表明していた宮崎駿監督ですが、引退を撤回して今回の映画公開に至りました。
しかし「君たちはどう生きるか」に関しては事前の宣伝が一切なく、大きな鳥が描かれたポスタービジュアル一枚だけしか公開されていませんでした。
筆者も公開直前まで、映画の存在すら知りませんでした…
なんの事前情報もなく劇場に足を運んだジブリファンからの評価は、「宮崎駿監督の集大成」「過去のジブリ作品を観てきた人には響く」といったポジティブなものと「ストーリーについていけない」「子どもには難しすぎる」といったマイナスなものとで二分されているようです。
そこで今回は「君たちはどう生きるか」に対する『気持ち悪い』という批判の声の背後にある理由と、作品の評価について詳しく解説していきます。
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「君たちはどう生きるか」の概要
「君たちはどう生きるか」は、スタジオジブリが制作し、宮崎駿監督が手掛けた長編アニメーション映画です。
構想・制作に10年という長期間を要した大作ということもあって、ジブリファンの間では公開が待ち望まれていました。
映画のタイトルは吉野源三郎が昭和初期に書いた小説『君たちはどう生きるか』から取られていますが、映画のストーリーはほぼ無関係とのこと。
ただし、映画の重要な場面でキーアイテムとして小説が登場するようです。
「君たちはどう生きるか」は、なぜ「気持ち悪い」と感じるのか
公開直後に「君たちはどう生きるか」を観た一部の人からは「気持ち悪い」といった批判的な感想が寄せられています。
映画の中で、主人公が経験する苦悩や矛盾、葛藤が生々しく描かれていることに対して「気持ち悪い」「重すぎる」と感じる人が多いようです。
また映画のテーマ自体「人生」「苦悩」「葛藤」のように重いものばかりなので、アニメーション映画とはいえ小さい子ども向けではないのかもしれませんね。
宮崎駿監督作品は、アニメーション映画であっても考えさせられるものが多いですよね。
「千と千尋の神隠し」や「紅の豚」、「崖の上のポニョ」など、子どものときに観るのと大人になってから観るのとではまた違った感想を持つこともあります。
「君たちはどう生きるか」は、一人の少年が社会との関わりの中で自分を見つめなおす過程を描いています。
その中で、現代社会が抱える問題や矛盾といったものが視聴者に問いとして投げかけられ、解決策のないまま映画が終わるため、そこに「モヤモヤする」「気持ち悪い」といった感想を抱く人が多いようです。
批判の声とその理由
「君たちはどう生きるか」に対しては、気持ち悪い以外にも批判的な意見が上がっています。
- テーマが重すぎる
- メッセージが直接的すぎる
- 描写が生々しすぎる
- 問題提起に対する答えが劇中で語られず消化不良
実際に筆者も「君たちはどう生きるか」を観ましたが、ジブリ特有のファンタジーの世界観が全面に押し出されていて、少し怖いと感じるシーンもありました。
アニメーション映画だけど、小さな子ども向けではないかも…
また、映画全体を通して問題提起がなされているとは感じるものの、それに対する明確な答えが最後まで明かされず、「???」となっているうちに終わってしまいました。
明確な答えが最後まで明かされなかったのは、映画の視聴者に対して自分の価値観や社会の問題などを自分なりに見つめなおしてみてほしいという、宮崎駿監督からのメッセージの現れなのかもしれませんね。
全体的な評価と感想
一部で批判的な声もあるものの、長年ジブリ作品に親しんできたファンからは高い評価を受けています。
メッセージ性の強さや問題提起だけではなく、映像作品としての完成度の高さを評価する声も多いです。
ジブリファンからの評価
長年ジブリの作品に親しんできたファンの間では、「君たちはどう生きるか」はおおむね評価されているようです。
また、これまでのジブリ作品を彷彿とさせるモチーフや描写がたびたび登場するので、「懐かしい気持ちになった」「宮崎駿監督の集大成という感じがする」といった感想を抱く人もいるようです。
筆者も劇場で「君たちはどう生きるか」を観てきましたが、「このシーン、○○の作品で見たことある…!」ということが何度かあり、当時を思い出して懐かしい気持ちになりました。
映像作品としての評価
「君たちはどう生きるか」に対しては「ストーリーはよく分からない」という人が多いものの、「映像がきれい」「音楽が最高」といったポジティブな感想も多く寄せられています。
映像や描写の美しさは、さすがジブリといったところでしょうか。
ちなみに筆者は、食事シーンのご飯がすごく美味しそうだなと思いました!「ジブリ飯」としてどの作品でも話題に上がりますよね
また、音楽もジブリ作品ではおなじみの久石譲さんが担当されているので、映像美と相まって世界観にぐんぐん引き込まれてしまいました。
「君たちはどう生きるか」を観る前に考えるべきこと
作品へのアプローチ方法
「君たちはどう生きるか」は、映画としては珍しく事前の告知やCM、プロモーションなどが一切されていません。
公開されているのは、大きな鳥が描かれたポスタービジュアル一枚のみです。
たいていの場合、劇場やテレビCMなどで告知を観て、ある程度あらすじやストーリーを把握した上で映画館に観に行く人が多いと思います。
しかし「君たちはどう生きるか」に関しては事前情報が一切ありません。
あらすじやストーリーなどの事前情報が一切ない状態で映画を観ることになるため、変な先入観や思い込みなどがなく、新鮮な気持ちで映画を観ることができると思います。
ジブリ作品なので、映像や音楽のクオリティは折り紙付きです!
自分なりの評価を形成するポイント
「君たちはどう生きるか」は、劇中で視聴者に対していろいろな問題提起がされています。
主人公が社会や周りの人とのかかわりの中で自分を見つめ直す過程で、さまざまな矛盾や葛藤にぶつかります。この矛盾や葛藤を通して、私たち視聴者にも問題が投げかけられているのではないでしょうか。
しかし、問題提起に対する答えは映画の中では最後まで明かされません。
多くの人が「観たけどよく分からなかった…」という感想を抱いている原因でもあります
これは、宮崎駿監督の「作品を通して視聴者自身に考えてもらいたい」というメッセージだと考えられます。
映画を通して語られている問題が、自分自身の価値観や問題意識とどのようにリンクするかということを考えながら観てみるのも面白いかもしれません。
まとめ
今回は、ジブリ最新作「君たちはどう生きるか」が「気持ち悪い」と言われている理由や作品に対する評価、映画を観る際のアプローチ方法などについて解説しました。
宮崎駿監督の集大成とも言われている作品ですが、「気持ち悪い」「何が言いたいのかよく分からない」といったマイナス評価の声も上がっています。
一方で、「深く考えさせられた」「映像と音楽が最高」「ジブリの世界観を堪能できる」というふうに評価する人もいます。
そこには、宮崎駿監督の「視聴者自身で考えてもらいたい」というメッセージが込められているのではないでしょうか。
映画を観て感じたことや考えたことを、自分が日頃から感じている問題意識や価値観と照らし合わせてみると、より作品を深く楽しむことができると思います。
ぜひ、劇場に足を運んで「君たちはどう生きるか」を観てみてくださいね。